はじめての人もよくわかる「兼六園」ミシュラン最高ランク3つ星

兼六園は、いわずと知れた、日本を代表する庭園で、岡山県にある後楽園(こうらくえん)、茨城県にある偕楽園(かいらくえん)とならんで、日本の3名園の1つです。
日本人なら、兼六園ということばを、ほとんどの人はどこかで、耳にしたことのがあると思いますが、「庭園って、地味なかんじだけど、おもしろいの?」という人は多いと思います。
自分も、正直なところ、兼六園にくるまえは、「庭園なんて、何がおもしろいの?」「年配の人がいくところじゃないの?」と思っていました。
知り合いに連れられて、はじめて兼六園にきたときも、「何がおもしろいのか、さっぱり分からない」こんな感じでした。
でも、じぶんで、兼六園に足をはこび、いろいろ調べるうちに、「ちょっとおもしろい」になり「なんかすごいかも」と思うようになりました。
たぶん、少し興味をもって、兼六園のいくつかのスポットができた背景を知ったから、よりおもしろみが出たのだと思います。
きょうは、はじめての人でも、よく分かるように、兼六園について、見ていきたいと思います。
ちなみに、兼六園は、ミシュラン観光版で、最高ランクの3つ星をとっていて、たくさんの外国人が、兼六園にきてます。
フランスのミシュラン社が出版しているだけあって、とくに、欧米の人が多いですね。
目次
はじめての人もよくわかる「兼六園」
兼六園について
兼六園は、金沢駅から車で13分ほど、バスなら徒歩ふくめて20分ほどのところにあります。
金沢駅から兼六園まで、直線距離で、およそ2.5キロくらいなので、歩いても行けるところにあります。
ちなみに歩いたら、30分少しです。
兼六園の広さは約11.7ヘクタール。
1ヘクタールが、100メートル×100メートルの広さなので、その11倍、かなり広いですね。
兼六園は、国の特別名勝に指定されています。
特別名勝って、なんやら、分かりづらいですが、兼六園いがいには、
- 「富士山」
- 長野の「上高地」
- 富山にある「黒部峡谷」
- 宮城県の「松島」
など、日本を代表するスポットが指定されている感じです。
兼六園は、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで最高ランクの3つ星をとっています。
ミシュランといえば、レストランの格付けで有名ですが、ミシュラン・グリーンガイドという観光地の格付けの本が、1926年に発売されています。
かなり、古くからある格付けみたいですね。
ミシュラン・グリーンガイドは、 訪問する価値がある自然、文化遺産 などが紹介されてきて、ランクは、1つ星から、3つ星まで、ランクが上がるごとに、星の数がふえます。
兼六園は、「わざわざ旅行する価値があるスポット」として、三ツ星をとっています。
ちなみに、1つ星は、「興味深いスポット」、2つ星は、「寄り道する価値があるスポット」です。
まとめると、日本だけでなく、世界的にも、評価が高いのが、兼六園です。
兼六園は、格式高い庭園だけでなく、「日本さくら名所100選」にも選ばれている桜スポットでもあります。
秋には、美しい紅葉を見ることができ、桜のまえには、20種類200いじょうの梅も見ることができます。
兼六園のなまえの由来
兼六園は、なまえのとおり、6を兼ねる園という意味で、6つとは、
- 宏大(こうだい)
- 幽邃(ゆうすい)
- 人力(じんりょく)
- 蒼古(そうこ)
- 水泉(すいせん)
- 眺望(ちょうぼう)
のことです。
さらに、6つを兼ねる園の意味をかみくだくと、
- 「宏大」広く大きい
- 「幽邃」おくぶかい静けさ
- 「人力」人の手によるもの
- 「蒼古」味わいのあるおもむき
- 「水泉」小川や、滝や、池など
- 「眺望」見晴らしがよい
となります。
でも、この6つを兼ねる園を、実現するのは、かなりむずかしくて、たとえば、
- 「人力」人の手がはいりすぎると、「蒼古」味わいのあるおもむき、をだすのはむずかしい
- 「宏大」広くて大きくつくろうとすると、「幽邃」おくぶかい静けさ、を実現するのはむずかしい
- 「水泉」小川や、滝や、池などをつくろうとすると、「眺望」見晴らしのよさ、を実現するのはむずかしい
となります。
でも、これら、相反することを、実現してるのが兼六園です。
「兼六園、ちょっとすごいと思いませんか?」
相反することの実現を、少し想像しただけで、むずかしいと思います。
これを江戸時代にやってしまったわけですから、われわれの祖先はあたまいいじゃないですか。
ちなみに、この相反する6つは、昔の中国の詩人であった李格非(りかくひ)が書いた「洛陽名園記(らくようめいえんき)」という書物にでてくるものです。
加賀藩主から、庭園のなまえ親に任命された、奥州白河藩の藩主、松平定信(まつだいらさだのぶ)は、その庭園が、相反する6つをそなえていた、ことから兼六園と名付けました。
兼六園の歴史
兼六園は、加賀藩の5代藩主、前田綱紀(まえだつなのり)が、金沢城にちかいところに、じぶんの住まいを建てて、庭園にしたのがはじまりです。
1767年(延宝4年)のことです。
当時は、兼六園ではなく、蓮池亭(れんちてい)と呼ばれていました。
蓮池亭は、加賀藩にくる客などのもてなしや、うたげなどを催す場所として、使われたようです。
しかし、1759(宝暦9年)に起きた大火事で、この庭園のほとんどが、燃えてしまいます。
1774(安永3年)に、11代藩主、前田治脩(まえだはるなが)が、庭園の再建をおこない、12代、13代藩主にわたって、整備されました。
ひさご池にある高さ約7メートルの「みどり滝」や、お茶や茶菓子が食べられる「内橋亭」ができたのも、この頃ですね。
6つを兼ねる園という意味の、「兼六園」というなまえが、松平定信によって付けられたのは、1822年(文政5年)で、一般に開放されたのは、明治時代になってからです。
特別名勝に指定されたのは、1985年(昭和60年)のことです。
兼六園のおもな観光スポット
兼六園には、30以上の観光スポットがありますが。ここでは代表的なものをいくつか紹介したいと思います。
琴柱灯籠(ことじろうとう)と虹橋
琴柱灯篭は、兼六園を代表するスポットで、もっとも人気のある場所です。
琴柱灯篭は、琴(こと)の柱に似せたもので、かたちはそっくりです。
琴柱灯籠と虹橋を、虹橋のてまえから見ると、ほんとうに琴に似ていて、多くの観光客の撮影スポットになっています。
琴柱灯篭の片っぽの足は、実は折れていて、石の上で支えているのですが、それがまた、けな気な雰囲気をかもしだし、まわりの景色ともとけこんでいますね。
琴柱灯篭は、休日ともなれば、ものすごい人で写真をとるのも、苦労するほど人気のスポットです。
2018年10月20日(土)に撮ったものですが、琴柱灯篭にどれくらい人がいるかは、この動画をみればわかります。
くれぐれも、橋から落ちないように注意してくださいね。
琴柱灯篭と虹橋については、こちらのブログにまとめています。
【第3回】兼六園のエレガントなスポット「琴柱灯篭・虹橋」の魅力
霞ヶ池と蓬莱島(ほうらいじま)
霞ヶ池は、兼六園の中心ともいうべき、おおきな池です。
蓬莱島は、霞ヶ池に浮かんでいる島で、カメに似ていることから、亀甲島(きっこうじま)とも言われます。
この動画にあるように、霞ヶ池と蓬莱島は、紅葉シーズンにはとてもキレイで、いろいろな角度から楽しむことができます。
これは、霞ヶ池と蓬莱島を、別のかくどから、撮ったものです。
風がつよくて、「ざー」という音が入ってますが、ご容赦ください。
これは、琴柱灯篭を横のかくどから撮ったものですが、霞ヶ池と蓬莱島もとてもキレイです。
霞ヶ池と蓬莱島については、こちらのブログにまとめています。
【第6回】兼六園の風流すぎる亀さんスポット「霞ヶ池・蓬莱島・雁行橋」
噴水
兼六園にある噴水は、日本でいちばん古い噴水と言われています。
この噴水、結構いきおいよく水が出ててますよね。
「この噴水、モーターなどの動力で動いていると思いますか?」
「それとも、自然のちからで動いていると思いますか?」
じつは、この噴水は、「霞ヶ池との高低差」と、「水のいきおい」だけで水が噴き出しています。
ある場所から、ある場所まで水をながすための、「逆サイフォン」、日本では、「伏せ越し(ふせごし)」という技術をつかっています。
これを、江戸時代に実現したというから、当時の人のあたまの良さにおどろきです。
噴水については、こちらのブログにくわしく書いています。
【第5回】兼六園、水しぶきが美しい「噴水」江戸時代のスキルの結晶
七福神山(しちふくじんやま)
七福神山(しちふくじんやま)とは、7人の神さまを石にたとえている、パワースポット的な小さな山です。
恵比寿(えびす)、大黒天(だいこくてん)、寿老人(じゅろうじん)、福禄寿(ふくろくじゅ)、布袋(ほてい)、毘沙門天(びしゃもんてん)、弁財天(べんざいてん)の、7人の神さまです。
七福神は、つうじょう、そのかたちに似せていますが、石にたとえているのは、兼六園くらいではないでしょうか。
七福神山は、そういう意味で、ちょっとユニークなので、一見の価値ありです。
七福神山のくわしいことは、こちらにまとめています。
【第10回】兼六園の「福」をもたらすパワースポット「七福神山」
山崎山(やまざきやま)
山崎山(やまざきやま)は、高さ5メートルくらいの小さな山です。
兼六園には、2つの山があって、一つは、サザエ山、もう一つがこの山崎山です。
そのむかし、金沢城をまもるために、土の山(総構え)をつくり、それがのちに、山崎山になったようです。
織田信長、豊臣秀吉につかえ、秀吉の時代には、徳川家康とならんでもっとも偉い地位にあったのが、加賀藩の祖、前田利家(まえだとしいえ)です。
五大老の一人でした。
敵もおおかった前田利家が、亡くなった年、加賀藩に危機が訪れます。
そんなときに、急きょつくったのが、総構え、この山崎山です。
山崎山については、こちらのブログにまとめています。
【第11回】兼六園の小さな山「山崎山」カエデが美しいスポット
兼六園の営業時間
兼六園の基本的な営業時間です。
- 3月1日~10月15日までの営業時間は、7時00分~18時00分
- 10月16日~2月末日までの営業時間は、8時00分~17時00分
兼六園は、時期によって、早朝に無料で開放しています。
- 3月1日~3月31日は、5:00~6:45(通常開園の15分前)まで、無料開放
- 4月1日~8月31日は、4:00~6:45(通常開園の15分前)まで、無料開放
- 9月1日~10月15日は、5:00~6:45(通常開園の15分前)まで、無料開放
- 10月16日~10月31日は、5:00~7:45(通常開園の15分前)まで、無料開放
- 11月1日~2月末日は、6:00~7:45(通常開園の15分前)まで、無料開放
定休日は、ありません。
兼六園の料金
大人(18歳以上) 310円(団体は250円)
子供(6歳~17歳) 100円(団体は80円)
6歳未満 無料
石川県民は、住所などがわかる免許証などを提示すると、土日にかぎり無料で入れます。
兼六園の場所と連絡先
兼六園の住所:石川県金沢市兼六町1
兼六園の連絡先:076-234-3800(兼六園管理事務所)